一生懸命頑張ろう

最後の代打者

 

 

「野球大会?」

レイクが眉をひそめる。
彼はマイホームの書斎で一人本を読んでいたが、突然騒がしく入ってきたプレシアがこう叫んだのである。

「そ! ドミナの町でやるの。ほらコレ」

プレシアが一枚のチラシをレイクの鼻につける。

レイクはそれを手にとり、目を通した。

『第一回ドミナ野球大会出場者募集!! 一チーム九人、補欠二人まで可能です。連絡はマークまで』

「………をい、まさか出場するつもりじゃ………」
「うん。登録してきたの、今」

あっさり答えたプレシアに、レイクは机をバンと叩いて立ち上がる。

「誰が出るんだよ!! 誰が!!」
「えーと、あたしでしょ、レイクでしょ」
「誰も出るなんて言ってねーだろ!」

レイクは頭を抱える。

「だいだい、最低でも九人だろ。あとどっから集める気なんだ」
「大丈夫。あたしとレイクの他に、バドコロナサボテン君…」
「サボテン君は無理だろ」
「だ、大丈夫よ! えーと、あと、あとは……」

指を折りながら必至で考えるプレシア。その横でレイクは溜息をつく。

「今からでも遅くはない。断ってこい」

「嫌よ!! 誰が断るもんですか!! いーわ。絶対大会開始の一週間後までに、補欠まできっちり
揃えてやるんだから!!」

そうひときしり叫んだあと、プレシアは書斎を出ていった。
残されたレイクは、床に落ちたチラシを拾いあげ、細かな点まで目を通した。

『なお、優勝チームには、賞金アリ!』

「そんな事だろうと思った……」

レイクは厄介な義妹を持った事に、本日数回目の溜息をついた。

 

 

そして大会当日。

「さー行くわよみんな!!」

一週間まるまる姿を消していたプレシアが、玄関の扉を開け、帰ってきた。

「師匠ーー!! 何処行ってたんすか!?」
「ちょっとメンバー捜しに」
「それで、見つかったのか?」

リビングのテーブルに肘をつき、興味無さげにレイクが訊いた。

「うん! なんとか集めたわ。ホラv」

プレシアが外を指差す。
そこには、何かもぞもぞ暴れている白く巨大な袋があった。

「あれは…、ビックリ袋か?」
「あたし達の仲間よv それじゃあレッツゴー!!」

無意味に語尾にハートマークをつけ、袋を引きずって走っていった。

「ああ師匠!! 仮にも生き物入ってる(っぽい)んだから、引きずっちゃ駄目ですって!」
「…ったく」

レイクが立ち上がる。

「バド、お前先に行け」
「え!? レイク師匠はどうするんですか?」
「俺は……」

一度言葉をきった後、レイクは机に何かをのせる。
空の重箱。

「弁当を作る」
「あ、私も手伝います」

ちゃっかり逃げるコロナ。

「マジで行く事になるとは…。残り物で済ますか」
「では私、野菜を洗ってきますね」
「ちょっとコロナーー! 師匠ーー!」

 

俺一人じゃプレシア師匠に殺されるってーーー!!!

 

バドは泣きながら叫んだ。

 

 

 

そして、試合が始まる。
場所は、ドミナの端にある空き地である。

「一番、ピッチャー、プレシア」

ウグイス嬢のアナウンスが辺りに響く。

「じゃあ行ってくるわ。次のバッターはバドで、その後は袋から適当に出して」
「それ、恐いんですけど……」

バドの抗議は無視され、プレシアはバッターボックスに立つ。
敵ピッチャーはマークである。

「フフフ、マークさん、悪いけど賞金はあたしが貰うわ」
「フッ、プレシアちゃん。私を甘く見てもらっては困るね…」

マーク、振りかぶる。

「渾身の、スーパーストレートォォォ!!!」

マークが剛速球を投げる。

「貰ったァァァ!!!」

プレシアが打った。

「おお、初球打ち!」

バドが歓声を上げる。
結果、プレシアが一塁に進む。

「フッ、ここにレイクがいたら絶対こう言うわね。
『わざわざ球種を叫ぶなよ』
ってね」

 

あ、言いそう(場内納得)

 

「お父さん、馬鹿みたい……」

ライトを守っているレイチェルが、密かに呟いた…。

 

 

 

「ハックション!」
「レイクさん、風邪ですか?」

 

 

 

「2番、キャッチャー、バドくん」
「俺、キャッチャーなの…?」

あのプレシアとバッテリーを組むのは、正直断りたいが、それではプレシアに何されるか分からない。

「あぅ…。てゆーか、俺どうやって打とう…」

幼いためもあって、身長が低すぎる。
考えているうちに、マークが球を放った。

「ええい! どうにでもなれ!」

バドがバッドを振る。
バッドがコンと小さく音を出し、ボールがころころ転がった。

「よし! ナイスバント(親指グッ)!」
「えーーーー(俺本気で打ったのに)!」

バドが一塁で刺された時には、既にプレシアは二塁に到達していた。

「あの…、三番バッターは…?」
「あ、ハイハイ…。………えーい! どうにでもなれ!」

審判に訊かれ、ベンチに戻ったバドが意を決し、袋に手を突っ込んだ。

 

グワシィ!!!!

 

途端、誰かに手を掴まれた。

「ひぎゃああああああああ!!!!! ごーろ゛ーざーれ゛ーる゛ううううぅぅ!!!」
「黙れ!」

バドが恐怖の余り号泣していると、袋の中から怒鳴られる。
その声が知人のものであると分かると、泣き声をぴたりと止める。

「エ、エ、エスカデさん!!?」
「おい、プレシアは何処だ!!」
「(顔恐ッ)えーと、今、二塁に……」
「二塁!?」

エスカデが辺りを見回すと、二塁でプレシアが手を振っていた。

「エスカデー! 三番とファーストお願いねーv」
「コラ待て! 貴様俺を拉致して気絶させたくせに何呑気に野球などやっている!!
しかもなんだ三番ファーストとは!!俺と言えば四番でピッチャーだろうが!!」
「わ、我がまま…」

エスカデの抗議に、バドは思わず呟いた。
結局、エスカデは怒りのパワー(?)で長打し、プレシアは見事にホームインした。

「貴様! 何ホームインしている! 俺の話を聞かないか!! さては逃げたな、卑怯者!!!」
「牽制されないよう気を付けてねー」

二塁でわめくエスカデに、プレシアはヒラヒラと手を振った。

「クリーンナップの初めにエスカデはなかなかいいわよー。さぁ、次は肝心要の四番!
いい人引当てなさいよ!」
「うぅぅ…もう嫌です……(泣)」

バドががさごそ漁り、掴んだ手を引く。
真珠姫がはいずりでてきた。

「わあああああああ(驚)!!!」
「うーん。真珠ちゃんか…。大丈夫かなぁ…」
「師匠!! 一体あと誰が入ってるんすか!?」
「と、言われてもねぇ。見かけた人三十人くらい入れたから……」
「師匠おおおおぉぉぉおおお!!!?」
「あ、あの、おねえさま…? ここ、どこですか…?」

真珠姫がおろおろと訪ねる。

「あ、ここはドミナよ。それより真珠ちゃん、これ持って」
「はい?」
「それで、あそこ立って」
「あ、ハイ……」

プレシアに言われるがまま、真珠姫はバッドを持ってバッターボックスに立つ。

「プレイ!」

審判が叫ぶ。

「え、あの……?」

真珠姫がベンチにいるプレシアにどういう事が尋ねようとした途端、ボールが放たれた。

「ストラーーーーーイク!!」
「え、ええ?」

真珠姫が混乱している間に、追い込まれてしまった。

「やっぱ真珠ちゃんじゃ無理か…。もう! もっといい人引き当てなさいよ!」
「師匠こそ真珠さんなんていれないでくださいよ!」

ベンチでプレシアの愚痴にバドは突っ込む。
バッターボックスでは、真珠姫がギュッとバットを握っていた。

「わたし……この、きんちょうかん、知ってる……」

真珠姫が呟く。

「そうだ、わたし、わたしは―――!!!」

突如、真珠姫の身体が白桃色に光る。
そして真珠姫の代わりに現れたのは、漆黒の選手…もとい戦士、レディパールだった。

「フッ、野球か、懐かしいな……」

レディパールが呟く。

「え? レディパール、野球やった事あんの?」
「何を言うプレシア。『草野球の女王様』とまで呼ばれた私を捕まえておいて」
「ウソーーーーーー!!!」

レディパールのサラリと言った発言に、バドが驚きの声をあげる。

 

てゆうかソレ、『テ○スの王子様』のパクリだろ……。

 

ツベコベ言わない!

 

「さあ来い、若き投手よ! この私が、汝の球を見事に打ち砕いてみせよう!!」

レディパールがホームラン予告をする。

「フッ、面白い…」

新たな好敵手の出現に、マークが笑う。

「な、なんかいつの間にかシリアスに………」

バドがあまりの場の変わりっぷりによろめく。

「食らえ! 我が必殺のカー…変化球を!!」

マークから、魂が込められた球が放たれる。

(カーブか!?)

レディパールが即座に球種を判断する。
そして、タイミングを合わせ、左足をあげる。

「あ、あれは……!!」
「一本足打法…。随分と手馴れているわね…」

ベンチでバドとプレシアが驚く。
レディパールが振ったバットが、見事真芯を捕らえ、そして……
秒速数百キロの球が、マークの顔面にめりこんだ。

「弾丸ライナーだああああ!!」
「チッ…、流石に数百年もやっていないときついな……」

レディパールが舌打ちする。
審判や選手たちが、マークの周りに集まる。

「マーク選手試合続行不可能! 補欠選手もいないため、選手不揃いとみなし、プレシアチーム不戦勝!!」

「やったぁ!」
「って、俺はまだホームインしてないぞ!!」

半ば忘れ去られていたエスカデが、再びわめき出した……。

 

 

 

その後、プレシアチームは立ちはだかる強豪をレディパールの弾丸ライナーで潰して行き、見事決勝戦まで上りつめた。

「てゆうか、野球ってそういうゲームでしたっけ…?」
「勝てたんだから文句は言わないの」

バドの疑問を、プレシアは即座に斬り捨てる。

彼女らはグラウンドに立ち、相手チームを待っていた。

「決勝戦! プレシアチーム対、珠魅チーム!」
「なに?」

主審の言葉に、レディパールは驚きの声をあげる。
そして、煌めきの都市の面々が、グラウンドに降り立った。
先頭のアレクサンドルが、レディパールの前に立つ。

「パール。『草野球の女王様』とまで貴方を敵に回すのは正直辛い……。
だが、こちらも貴方に劣らぬ新人投手を起用した」
「新人……だと?」

レディパールが眉をひそめる。

(本格的じゃないスか、あっち…?)
(ドミナが特別に招待した、シード球団らしいわ…)

バドとプレシアが小声で話し合う。

「そう。彼だ」

アレクサンドルの言葉を受け、一歩前へでたのは、瑠璃であった。

「瑠璃…?」
「パール…。俺は、貴方とは戦いたくない。だから……!!」
「あーーー!! 瑠璃! あんた、よくも脱け出してくれたわねーー!!」

瑠璃の言葉を途中で遮り、指をさすプレシア。

(瑠璃さん逃げられたんだ…。俺、絶対あの袋の中に入ってるかと思った…)

バドが内心思った。

「貴様! 真珠をどこかに連れてったと思えばこんな所に……。俺はパールと戦いたくない! 今すぐ棄権しろ!」
「いーやーよ!! 賞金がもらえないじゃない! 棄権するならあんた達がしなさいよ!!」
「プレシアさん、俺も貴方と戦いたくない…。俺からも頼む。棄権してくれ」
「アレクサンドルまで……」
「棄権してくれたら、賞金の代わりに俺をやるから(ドキッパリ)!!!」
「いらないわよそんなの!! てゆうか抱きつくなああああああ!!!」

公の場でプレシアの腰に抱きついたアレクサンドルに、プレシアは嫌がり、核に蹴りを入れる。

「………ッ(滝汗)!!」
「いーい。あたしは絶対棄権しないわよ! 寧ろ勝つわ! さ、行くわよみんな!」

核を抑えうずくまるアレクサンドルを無視し、腰に手をあて高らかに宣言したあと、ベンチへ向かうプレシアであった。

 

 

 

一回表。珠魅チームの攻撃である。

「一番、ライト、エメロード」
「さ、行くわよー!」

エメロードが肩を回す。

(行くわよ、バド)
(分かりました、師匠)

プレシアとバド頷きあう。そして、プレシアが第一球を投げた。

「疾風龍突ーーー!!」
「っていきなり必殺技ーーー!!!?」

紫色の龍の気を纏った球が、猛スピードでキャッチャーのミットへ向かう。
元々は槍の必殺技だが、プレシアは何故か必殺球へ改造していた。

「きゃっ!」
「うわッ!!」

エメロードとバドが同時に悲鳴をあげる。バドは後ろに倒れつつも、しっかり球を捕っていた。

「どう? あたしの球は?」
「って師匠! 聞いてませんよ、あんな球放つなんて!!!」

バドは抗議しつつ、球をプレシアに返す。

「『敵を騙すにはまず味方から』って言うでしょ? さあどんどん行くわよー」
「こっちの身が持たないって……(泣)」
「バド君、頑張って……」

エメロードも思わず呟いた。

「疾風龍突ーーー!!」
「ってまたかあああああ!!!!」

―――結局、この回は三者凡退で終わった。

 

 

 

そして、一回裏、プレシアが安打を打ち、バドがバントでプレシアを二塁に進めた。

「師匠ーー! さっきのスライディングで、足怪我しませんでしたーー?」
「だいじょーぶーーーー!!」

バドの心配そうな叫びを、プレシアは元気に手を振りつつ返した。

「三番、ファースト、エスカデ」

エスカデがバットを持ち、バッターボックスに立つ。
エスカデと瑠璃が火花を散らし合う。
瑠璃が球を投げる。

(ここだ!)

エスカデが打つ。
ショートの直前で球は地につき、ショートが球を捕らえ、三塁に投げる。
だが、既に遅く、プレシアは三塁に、エスカデは一塁に到達していた。

「ナイスよエスカデ!」
「当初の目的では場外ホームランを打つつもりだったんだが……」

プレシアがベンチで誉めるが、エスカデは一人納得が言っていない様子だった。

「四番、ショート、レディパール」
「……パール……。俺は、俺は―――……」
「瑠璃……。ここで私を倒してみろ!」

当惑する瑠璃に、レディパールが言った。

「その時が……私がお前を一人前の投手として認めるときだ」
「パール……」
「だからなんで変な所でシリアスになんのさ……」

バドがベンチで呟いた。

「パール…、貴方がそういうのなら、俺は、この球に、全身全霊を込める!」

球を持つ手にグッと力を入れ、瑠璃は球を投げた。
白球は真直ぐ、バッターボックスへ飛んでいった。
そして―――

 

カキ―――ン

 

バットが澄んだ音を立て

 

バゴッ

 

例の如く、瑠璃の顔面に当たり、上へ跳ね返る。

「真珠…パール…」

仰向けに倒れ、意識を失った瑠璃。
と、左手のグラブに、上へ飛んでいった球が落ちてきて、すっぽり入った。

「アウトッ!!」

審判が叫ぶ。

「………。瑠璃、お前の情熱、しっかり受け取ったぞ……」

パールがバットを下ろし、呟いた。

「てゆーか、瑠璃さん大丈夫かな……」

バドが水分補給をしながら呟いた。

 

 

 

ゲームは白熱し、四対三の接戦した戦いとなった。
そして九回裏。プレシアチームの最後の回となる。

「いい? 一点負けてんだから、気合いれていくわよ!」

プレシア達が皆に喝をいれる。
しかし、瑠璃の後にでてきたピッチャーは、脅威的で、あっという間にツーアウトをとってしまう。
が、それでも他のメンバー(って誰だ?)が打ち、二死満塁、打順はプレシアへと回ってきた。

「師匠! 頑張ってください! って、師匠……?」

バドがベンチで足を抑えうずくまっているプレシアを覗く。

「! 師匠!」

バドが声を荒げる。一回裏でプレシアがスライディングした時に、実は負傷していたのだ。

「それなのに、ずっと試合してたんスか!?」
「だって、交替したくなかったんだもん…。あと袋に入ってるのは野生のラビぐらいだし……」
「(ラビッ!?)で、でも!」
「大丈夫よ! ラビに任せるくらいなら、自分でやるわ!」
「無理です! 棄権しましょう! 賞金なんて師匠が好調なときはいつでも稼げるんだし…」
「バド…」

プレシアがバドの肩に手を乗せる。

「自分の安全を優先して目の前の戦いを逃げるより、あたしは最後まで戦って負けたほうが自分の
事をまだ許す事が出来るの。…もちろん、今でも勝つ気でいるけどね」

プレシアがウィンクする。

「師匠…」

途端に涙ぐむバド。

「うわーーん!! 師匠カッコイイです!! 俺、俺、一生付いていきますーー!!」
「よーし、じゃ、行ってくる……」
「ここで、プレシアチーム、選手の交替をお知らせします」

プレシアが立ち上がった途端、ウグイス嬢の声が響く。

「って、誰よ! あたしが折角出ようとした…のに…え?」

いきり立ってバッターボックスを見たプレシアが目を丸くする。

「?」

バドも打席に目をやる。

「ピッチャー、プレシアに変わりまして、キャッチャー、レイク」

そこには、涼しい顔をして、準備体操と言わんばかりに肩を回している、レイクの姿があった。

「レイク師匠ッ!?」
「レイク!? あんたいつの間に!?」
「さっき来たんですよ」

横から風呂敷を抱えたコロナが現れる。

「それで見てみるとプレシアさんが怪我してるじゃないですか。それ見てレイクさん、ベンチの方に
行かず真っ先に審判の所行ったんですよ。『アイツ出るつもりだから俺が代わりに出てくる』って」
「アイツが……」

プレシアが驚いたように呟く。

「って、俺ってキャッチャーなのか…?」
「レイクさん」

バッターボックスで疑問を呟いていたレイクに、キャッチャーのアレクサンドルが呼びかける。

「最後の最後に出てくるとは、いい度胸しているな」
「たまたまそういう時に来ちまったもんでね。こっちとしては出番無く終わりたかったよ」

レイクが面倒くさそうな顔をする。

「さて、どうしてお前、こんな辺鄙な大会に出ているんだ?」
「こういう時じゃないと、彼女に会えないじゃないか」

当たり前と言わんばかりに、アレクサンドルが横目でプレシアを見る。
途端に、物凄く呆れるレイク。

「………あんなん好いて、ロクな事は無いぞ。慣れるのに十年はかかる」
「大丈夫。珠魅にとって十年なんて早いものだ」
「それもそうだな。だが………」

レイクがアレクサンドルを目で射抜く。

「一応、『兄貴』として、お前が義弟になるのは止めさせて貰う」
「………宣戦布告というわけか………」
「どうとってもお前の勝手だ」

レイクが目線を前に戻し、バットを構える。
振りかぶるピッチャー。

「ではこうしないか? お前がホームランを打ち、サヨナラ勝ちができれば俺は諦める。
だが、お前が三振したら、俺は彼女を遠慮なく頂く。どうだ?」
「本人抜きでやる事じゃないな。だが―――」

レイクが不敵に笑う。
そして―――。

 

 

 

「優勝賞金こんだけ!?」
「こ、これ以上は無理だよ……」

「冗談じゃない! あと三倍は貰うわよ! えーと、確かあそこにマークさんのヘソクリが……」
「わーー!! どうしてプレシアちゃん知っているんだ!?」

足の手当てが終わったプレシアと、目覚めたマークが、賞金の事について口論を始めている。
それを呆れ顔で見つつ、レイクは重箱のおかずを口に入れていた。
シートを下に引き、まるで花見のように三人はお弁当を食べていた。

「全く……」
「まあまあいいじゃないですか」

コロナが笑って言う。

「一時はどうなるかと思ったけど、優勝できて良かったよ」

バドがコロナのお取り皿から卵焼きを素早く取る。

「あ! バド! それ私の卵焼き!」
「へへーん。食ったもん勝ちだもんねー! あーん!」
「あー!! 食べちゃったーー!」

レイクの目の前でも、双子の取っ組み合いが始まっている。
レイクは重箱を安全な所へ避ける。

「あ、そういえば、レイクさんどうしてあのとき代打で出たんですか?」

戦いを制したコロナが、レイクに訊いた。

「どうしてって、あそこで俺が出なかったら、プレシアは確実に怪我した足で出ていただろ?」
「はい」
「そんな足で出たら、確実に傷口が広がる。そうなると色々と厄介だから、出たんだよ。
それに、代打は俺じゃなかったらコロナが出る事になってたんだぞ。でも無理だろ?」
「まあ、そうですね……」
「ま、アイツの尻拭い出来んのは、俺しかいないって事だよ」

レイクが唐揚げを口に運ぶ。

「それって、密かな優越感、ってやつですか?」

コロナが確信犯な笑みを浮かべて訊いた。

「………どういう意味だ?」
「いえ、べつにー」

ジトリとしたレイクの追求の目を、コロナはそっぽを向いて逃れる。
そして彼女はすぐに、自分のお取り皿から性懲りも無く食べ物を取ろうとした弟との第二ラウンドを開始した。

「……優越感、ね……」

レイクは箸を置き、あぐらをかいた膝の上に肘を乗せ、顔を乗せた。
目の前で繰り広げられている姉弟の戦いの向こうで、プレシアもマーク相手に優勝賞金をたかっていた。
常に楽しそうに笑っているプレシア。
その表情を見て、優しげに笑うレイク。
彼にとっては、とても珍しい事だった。

「さて、そろそろ止めに行くか」

レイクは立ち上がり、彼女の所へ歩いて行った。

 

 

 

一生懸命頑張ろう

その気持ちを無駄にせず、受け継いでくれる『代打者』がいるから

 

 

 

「よし。煌めきの都市でも野球大会を開こう!(←諦めてない)」
「ああ賛成だ。女王の名に相応しい活躍を今度こそ成し遂げてみせる!」
「勝手にやってくれ……(溜息)」

 

 

 

†終わり†

 

 

†あとがき†

どうもこんにちわ。浅崎かずみです。
このたびはキリバン100番おめでとうございました! 記念すべき最初の一人目です!
えー、リクエストは『聖剣LOMで皆でスポーツやってるギャグ話』だったんですが……。
皆?(にしては登場人物少ないぞ)
ギャグ?(途中途中でシリアスになってるぞ)
ていうか、長いぞ(いいのかこれで)?
……えー、生まれて初めてのキリリク小説とは言え、駄文送りつけて申し訳ありません。
しかも最初はサッカーにしようと思ってたんですよ。メール受け取ったときに、後ろで兄がワールド
カップ見ていたので(っていつの話だーー!!?)。
でも撃沈しました。分からないので。
それで比較的分かる野球で書いてみたんですけど………。野球らしい野球、やってませんね……。
寧ろキャラが壊れすぎていますね……。カップリング色強すぎますしね……。
…………(汗)。
えー、ともかく、今回はキリバン報告&リクエストありがとうございました! 心からの愛(キモイ)
は詰まっているので、受け取ってください!
返品可です。遠慮なくどうぞ(笑)。
それではこの辺で。ありがとございました!!

 

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